声明文 ALPS処理汚染水の海洋放出に反対します
私たちは「食はいのち」を基本理念として掲げ、茨城県南部、千葉県北西部のおよそ4,000世帯が加入し、事業・活動を続ける生活協同組合です。この地域は2011年の福島第一原子力発電所事故に起因する放射性物質により汚染状況重点調査地域となりました。組合員、地元の生産者が、放射性物質による環境汚染と被ばくという実害を受けましたが、これと向き合い、事故後早期から食品検査を行い、子どもたちの健康調査を現在も続けています。
2023年8月24日からALPS処理汚染水の海洋放出が始まっています。しかし、福島県漁業協同組合連合会は今も汚染水放出に反対しており、同日、反対声明も発表しています。政府および東京電力は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と、地元漁業者と約束したはずですが、「関係者の一定の理解」すら得られないまま強行したことは明らかです。また、多くの国民の理解も得られていません。
処理汚染水を希釈したとしても、海洋放出は人為的に海を汚す行為に他なりません。海水だけでなく海の生物も汚します。それらは海にとどまらず地球環境を循環します。つまり、海を汚すだけでなく、地球全体を汚す行為です。当然、人体に取り込まれる可能性もあります。
政府および東京電力はALPSでトリチウム以外の放射性核種を取り除くことができるとしていますが、除去しきれない核種の存在が指摘されています。また、トリチウムが人体に取り込まれた場合の安全性について疑問視する専門家もいます。
処理汚染水の海洋放出はすでに始まっていますが、このまま30年にもわたり処理汚染水を放出し続け、これ以上私たちの食や暮らしを危険にさらす事は許せません。そもそも海洋放出は唯一の方法ではありません。代替案が出ていたにもかかわらず十分な検討をせず、事実上、海洋放出一択で推し進めてきた政府の姿勢は容認できません。
原発は放射性物質を「閉じ込める」ことで安全を確保する事を基本としています。汚染水も同様に、放射性物質を「閉じ込める」対策を取り、拡散をできるだけ抑えるべきです。
ALPS処理汚染水の海洋放出を今すぐ中止し、代替案を検討、実施することを強く求めます。
以上
2023年9月4日
常総生活協同組合 理事会